見て 驚いて 考える!アステン エネルギー見学会

発電の現場を見て、これからのエネルギーを考える。そんな視点で「アステンエネルギー見学会」が開催された。参加したのはアステン読者の女性4人。「特にエネルギー問題に強い関心があるわけではない」と語る参加者が、見て、驚き、感じたこととは?

原子力発電の仕組みを知る

今回のエネルギー見学会に参加したのは、高野倉加奈子さん、小関慈さん、内田友美さん、横井文さんの4人。母として家族の暮らしを支えながら、あふれる好奇心で今を捉えようと努めるアステン読者だ。
一行がまず向かったのは、御前崎市にある「浜岡原子力館」。ここは、原子力発電の仕組みや浜岡原子力発電所の安全対策などを気軽に学べるスポットで、開館時間内であれば、誰でも自由に見学することができる。浜岡原子力発電所職員の山田起永子さんと石川粧子さんが、見学会のナビゲーターを務めてくれた。
原子力館見学後には、スマホアプリのVRで、防波壁などのイメージを体感。実物への期待がさらに高まる。

発電所の特徴や安全対策について解説する山田さん
発電所の特徴や安全対策について解説する山田さん。浜岡で働く約4000人の従業員(協力会社含む)の内、約6割が近隣4市の在住
  • 浜岡原子力館を見学する参加者
    浜岡原子力館を見学する参加者。館内では原子炉や防波壁の実物大模型が展示されている
  • スマホアプリのVRを体験
    スマホアプリのVRでも発電所の内部へ!

海抜22mの防波壁に圧倒される

その後、4人はいよいよ「浜岡原子力発電所」へ。最初に向かったのは、発電所内への津波の浸入を防ぐ防波壁と改良盛土。海抜22m、総延長約1.6kmの防波壁は、実物ならではの圧倒的な迫力で、参加者は「これなら津波は越えられないでしょうね」と驚いていた。
次に見学したのは、さらに、万一津波が敷地内に浸入してきた場合の安全対策。原子炉建屋への浸水を防ぐ巨大な強化扉、緊急時海水取水ポンプなどを見て回った。
参加者の驚きはまだ続く。一行は、発電所の背後に広がる海抜30〜40mの高台へ。やがて見えてきたのは、緊急時の淡水貯水槽、ガスタービン発電機、可搬型注水ポンプ車、電源車などだ。これらのバックアップ設備は、津波が敷地内に浸入し、何重もの安全対策が破られてしまった万一のケースを想定しているので、実際に稼働する確率は限りなく低い。それだけに参加者の驚きも想像をはるかに超えていたようだ。「万一の、さらに万一のことを考えた上での安全対策ですね」

海抜22m、総延長約1.6kmの防波壁
海抜22m、総延長約1.6kmの防波壁。基礎は深さ10〜30mまで達し、岩盤に根入れされている
  • 建屋の強化扉
    建屋の強化扉は厚さなんと1m!
  • 津波の影響を受けにくい高台のガスタービン発電機
    津波の影響を受けにくい高台のガスタービン発電機。中規模の水力発電所と同程度発電でき、建物は免震構造になっている
  • 可搬型の注水ポンプ車や電源車、解説は石川さん
    可搬型の注水ポンプ車や電源車も見学。保管場所は、敷地内の東西2カ所に確保。これもリスク分散の工夫。解説するのは石川さん

見学を終えて

エネルギーは身近な存在

内田
多重性のある安全対策でした。
高野倉
でも、そこまで対策をしなければいけないほど、原子力って怖いのかな、とも思いました。
内田
それは、私も感じましたね。ただ、何も知らないまま漠然と怖がるより、どうしてそこまでの対策をしなければならないのか、それをみんなで考える必要があると思います。
高野倉
反面、エネルギー問題って難しいと思いませんか。今の日本の電力事情を考えれば、火力、原子力、再生可能エネルギーをミックスする方法がベターだと思いますが、今後もこのままで良いとは思いません。
小関
日本の電力の約85%が火力発電で賄われている現状は、異常ですね。エネルギー問題って言ってしまうと、ちょっと難しそうなので、入り口の部分は、もっと分かりやすく説明した方がいいと思います。
横井
エネルギー問題や原子力発電のことをもっと知りたい、もっと勉強しなくちゃ、と思いました。そんな思いを子どもや友人にも伝えたくなりました。電力会社って聞くと、つい身構えてしまうけど、本当は身近な存在ですよね。今日案内してくれた山田さんや石川さんのような人たちが一生懸命働いている姿を思い浮かべると、電力会社のイメージは変わります。
小関
普段、何気なく使っている電気がどこで、どのように作られているのか、あるいは、見えないところで誰が作っているのかということもしっかり学ぶべきだと思います。
高野倉
そういう部分も含めて、今日は見学できて良かったです。

浜岡VRアプリ

  • iOS(iPhone版)
    アプリダウンロード
  • Android版
    アプリダウンロード
  • データ容量が大きいのでWi-Fiを繋いだ状態でダウンロードしてください。
  • 視聴にはVR用のスコープが必要です。
ナビゲーター
浜岡原子力発電所職員山田起永子さん
石川粧子さん
  • 参加者
  • 横井さん
    いろいろな安全対策にビックリしました
    by横井さん
  • 内田さん
    小学5年の息子に自由研究のテーマとして薦めたい
    by内田さん
  • 高野倉さん
    今後のエネルギーの組み合わせ方をしっかり考えたいと思いました
    by高野倉さん
  • 小関さん
    これからの日本を担う世代にもよく考えてもらいたいです
    by小関さん
取材協力/中部電力 問い合わせ ☎054-273-9004