特集 | 2017.7月号

アステン特集

世界を色眼鏡で見てみよう

瞳はおしゃべり、そして無防備。ノーガードの無邪気さもかわいいけれど、サングラスで隠す、守るのが大人のスキル。太陽を味方に付けて、今年の夏、何色に染める?

日差しのダメージはNGだから、夏景色はサングラス越しが美しい

 サンダル、日よけのストール、籠バッグ。夏休みの予定を立て、いろいろと準備するのは楽しいもの。そんな夏のアイテムリストの中に、サングラスは入っているだろうか。似合わない、何となく気恥ずかしいと敬遠している人がいたら、それは少し残念かもしれない。日差しのダメージから瞳を守るサングラスは、小さいけれど頼もしい、夏のボディーガードなのだから。
 目の健康とサングラスの最新事情を聞くために、静岡市葵区の呉服町タワー1階にあるAJOC疋野へ。
 白を基調にしたシンプルで清潔感あふれる店内で迎えてくれたのは、代表取締役社長の疋野幹男さんと奥さまの陽子さん。
 「当店では、商品として出来上がったサングラスは、そんなに多く置いていないんです。お客さまの目の状態、どんな状況でお使いいただくかを知った上で、フレーム、レンズを組み合わせ、一つ一つオリジナルのサングラスをお作りしています」(疋野社長)
 医療、福祉分野で求められるロービジョンケアも、この店の得意分野だ。
 陽子さんが、ユーモアを交え、にこやかに言う。
 「華やかなファッショングラスをお探しなら、遠慮なくお向かいのデパートさんに行ってくださいね、と言っているんですよ(笑)」
 お二人によると、サングラス用の高機能カラーレンズは、ここ数年で大きな進化を遂げているとか。
 目から入ることで、日焼けやシミなど肌に影響を及ぼす紫外線。同じく目から侵入し、シワやたるみなど、真皮や筋肉にダメージを与える近赤外線。体内時計を狂わせ、快適な眠りを妨げるパソコンやスマホの青色光。
 最新のカラーレンズは、これらの目に負担を掛ける波長の光を一つ一つブロックしながら、日常のさまざまなシーンで「見たいもの」だけ、より鮮明に見えるようにきめ細かく調整されている。

旅に出る時、散歩の時、行き先や目的別にレンズを選ぶ

 たとえば昼のドライブなら、ブレーキランプや信号を鮮明に。夜のドライブは、ヘッドライトのまぶしさを抑えつつ、一定の明るさを確保。スポーツなら、テニスは黄色のボール、ゴルフは緑の芝目、釣りには反射する水面、と日常の場面によってしっかりと見たいものは皆、違う。進化したレンズは、それぞれのニーズに、さまざまな「色」で応えてくれる。
 ユニークなものでは、光の波長と心身の健康について研究する女性チームが開発し、臨床実験でイライラの解消などの鎮静効果が認められたピンク系のレンズを使ったサングラスもある。
 「ウオーキングや旅行には、花や木々などの風景が自然な状態で見える無彩色のカラーがおすすめです」(陽子さん)
 とはいえ種類が多彩であるほど、普段、掛け慣れていない人にとって、サングラス選びはハードルが高い。
 「フレームは顔の形に合わせて、丸顔の方は丸いタイプ、四角い方はスクエア型が似合うと言われています。でも気にせず好きなものを選ぶのも個性的ですてきですよ」(陽子さん)
 「レンズに関しては、お気軽にご相談ください。ご自分に合った機能のレンズを使えば、掛けない時よりずっと快適に過ごせます」(疋野社長)
 今年の夏は、日焼け止めクリームを塗るように、自然にサングラスを使ってみたい。

偏光レンズの向こうに見えるのは、輝く海と、確かな明日

 牧之原市の静波海岸で、サーフショップ Seab(シーブ)を元同僚と共同経営する増田真奈美さんはボディボーダー。店は海岸から徒歩30秒。生まれ育った市内の実家も海の近く。365日、潮の香りの中で暮らす真奈美さんの日々には、サングラスが欠かせない。
 今のお気に入りは、自分の店でも取り扱っているアメリカ、アイダホ州のブランドproofのサングラス。自然環境に配慮した素材を使用しているのが特長で、真奈美さんのサングラスも、フレームに木が用いられた、日本ではあまり見かけないアイウエアだ。
 「木製なので、とにかく軽いのがいいですね。偏光レンズが使われているのでサーフィンの大会を見に行く時など、長時間、サングラスを掛けていても全然、目が疲れません」
 売り上げの一部を、インドの盲目の人々のために寄付している、というブランドのポリシーにも共感している。
 「海でも街でも、どこにでも似合うし、デザインが人とかぶらないのも気に入っています」
 時間があれば、朝、仕事の前にもボードを抱えて海岸に向かう。
 「おばあちゃんになっても、楽しく、笑ってボディボードを続けていけるのが理想です」
 海という大自然に体全体で立ち向かうボディボードは、自身の体力の限界を否が応でも知らされるスポーツ。真奈美さんは年齢を重ねてもずっと続けていくために、体幹トレーニングや体のメンテナンスを欠かさない。もちろんジムへ向かう車の運転にサングラスは手放せない。
 店名のseabは、英語のsibling(兄弟・姉妹)とsea(海)を組み合わせた造語。海を中心に据えた真奈美さんの迷いのない生き方に、相棒の木製のサングラスはとてもよく似合っている。

カリフォルニアで過ごした太陽と自由とサングラスのある日常

 静岡市で英語教室を営むアステン・サポーター志田ユミさんは、20代から30代にかけての10年間、アメリカ、カリフォルニア州で留学生活を過ごした。暮らしていたのは、海辺の街、サンタバーバラ。
 「海にも山にも近く、都会でも田舎でもない、ちょうど静岡のような街でした。大学もビーチ沿いにあり、気候も過ごしやすかったですよ」
 欧米人のブルーアイは紫外線に弱いこともあって、この街に住む人々はサングラスが必需品。
 「車のダッシュボードにいつもポンと気軽に置いてある感じです。サングラスを忘れて外出すると、慌ててドラッグストアに買いに走ることも」
 デパートやモール、小さな露店、街のどんな場所にもサングラスは必ず売られていた。
 実はユミさん自身、日本にいた時からサングラスは日常的に使っていた。
 「留学前、テーマパークでダンサーの仕事をしていたのですが、舞台用の濃いメイクをしたまま帰宅する時に、電車の中では、いつも大きなサングラスで隠していました」
 日本とは違う文化の中で生活してみたい。そんな動機で旅立ったアメリカでユミさんが実感したのは、女性たちの、妻、娘、母など役割に縛られない自由な生き方。
 ファッションも、おしゃれをするというより、そこにある好きなものを自由に着ている感じで、その肩肘張らないカジュアルさが新鮮で心地よかった。
 「アメリカ人の友だちが、フェミニンなワンピース姿で、ビーチバレーの選手のようなワイルドで大きなスポーツタイプのサングラスを堂々と掛けていて。それが不思議と様になっていて、日本人のようにミスマッチだとか全然気にしないんだなと感心したのを覚えています」
 最後にユミさんに、サングラスをカリフォルニア流に意識しないでナチュラルに掛けるコツがあるかと聞いてみたら、こんな答えが返ってきた。
 「心の底から"まぶしい!"って思えば、大丈夫、自然に見えますよ(笑)」

 サングラスの似合う人は、「掛けていない時間」の大切さを知っている。世界に一つだけの自分の人生と、それを見届ける瞳のために、レンズ越しの夏を楽しもう。

取材・撮影協力 /
AJOC疋野 TEL:054-251-7777 http://www.hikino.co.jp/
Seab surfshops http://seab-s.com
シダユミ英語教室 http://english15.eshizuoka.jp/