特集 | 2018.6月号

アステン特集

見返り美人のつくりかた。

背中が語る、と言われるように、すれ違った後ろ姿に座って机に向かうシルエットに「美しい」と目を引かれることがある。目の前の鏡に映らないアングルからのキレイを目指して前向きな夏の準備を。

美しい後ろ姿は脳がつくる。

 毎日の暮らしの中で、私たちはどの筋肉を使って動いているか考えることはほとんどないけれど、何気ない動作一つ一つが、実は脳と心臓、筋肉の絶妙な連係プレーによって成り立っている。
 「ベッドに寝た状態が1日続くと、筋力が5%落ちると言われています」と静岡医療学園専門学校(静岡市)の教員、原田菜央さんが教えてくれた。
 心臓が拍動するごとに、どこにどのくらい血液を送るか、私たちの体はフル回転で考え続ける。よく使う筋肉にはきちんと行き届くよう、逆に使わないところは少なく。こと、背中や肩まわりは使わなくてもなんとなく楽ができる部分。運転したりパソコンに向かったり、スマートフォンをチェックしたりするときの姿勢はたいてい前かがみだ。加えて、腕を頭上高く上げなくても、無理に後ろに回さなくても日常生活に支障はないくらいには、今の世の中は便利になっている。そんな環境の中で、私たちの体は動かす範囲がかなり狭まっている。
 「多くの人は高校卒業後、体育の授業がなくなったり部活動を引退したりすることで、一気に筋力が落ちます。背中の筋肉は、意識しない限り、どんどん後回しにされてしまいますが、それは体の自然な働き。もう一度『ここも使う』と脳が覚え、脳からの信号を伝えるシナプスが整うには3週間かかります」
 分かりやすい例えとして、原田さんが挙げてくれたのが道路工事だ。道路を造る時、少しずつ道を延ばしていき、やがて開通し物流が整う。体も同じで、継続して動かし、体に触れて「ここも使うよ!」と脳へ伝え続けてやっと神経がつながる。そのためにも、日頃から体を動かすことが必要だし、時には緊張感も大切、と原田さんは言う。
 「ハイヒールを履いてきれいに歩こうとすると、体が自然とバランスを取ろうとして、背中やもも裏の筋肉も使います。いつもはペタンコの靴でも、ショッピングの時はハイヒールで歩いてみるのもいいかも。リラックスは大切だけど、体が緊張感を忘れないことも、きれいな後ろ姿を作るのに必要だと思いますよ」

姿勢を正し、顔を上げて。

 「きれいな背中は、背骨の両側にある脊柱起立筋がほどよく膨らんでいる状態。背骨に沿って凹凸がある方が美しく見えます」
 そう話すのはグランツフィットネス(静岡市)のインストラクター茂川広大さん。ではやはり、その部分を鍛えるトレーニングが必要?
 「もちろん筋トレやストレッチは効果的ですが、日々の生活の中で姿勢を意識するだけで、後ろ姿はずいぶんスッキリするんです。歩く時も、ついうつむきがちですが、それだとどうしても背中が丸くなる。ぜひ顔を上げて、背筋を伸ばしてみてください」
 欧米の人たちは、アジア系の人の中の日本人を「猫背」で見分ける、と言われるほど、日本人は姿勢が悪いのだそう。だからこそ、まずは正しい姿勢に気を付けることが美しい背中への近道になる。目安は、横から見て耳と肩の中心、ももの付け根の外側、くるぶしが一直線になっているかどうか。実際に立ってみると、かなり肩を後ろに反らさないと、そのポジションにならない。
 座る時も同様に、椅子に浅く腰掛け背筋を伸ばし、肩甲骨を意識して胸を張る。その際、注意したいのは、腰を反らさないこと。
 「腰は本来、動かさず、上半身が柔軟に動くことが理想。胸を張ることで背中が伸び、肩や首などを柔らかく保てます」
 簡単なエクササイズを教えてもらった。まっすぐ立ち、胸の前にペットボトルなどを両手で持って、頭から腰が一直線になるようにゆっくり前におじぎをする「グッドモーニング・エクササイズ」。歩くときは腕を前に振るのではなく肘を後ろに引っ張るように、足も後ろに蹴るように意識して。自分の体がどう動くのか、じっくり感じてみてほしい。

コンプレックスが表情を変える。

 後ろ姿がキレイな女性を増やしたい。そんな理想を掲げて、女性たちをアシストしているのがお尻専門のトレーニングジム、NON FITNESS(藤枝市)だ。美にこだわる外壁塗装の鈴覚社長・鈴木覚さんが立ち上げた。
 お尻の筋肉「大臀筋(だいでんきん)」は、体の中でもっとも大きな筋肉ながら、普段の生活ではほぼ使われず眠っている状態だという。「トレーニングはまず、眠っている筋肉を起こすところから始めます。鍛えることで、何歳でもハリのあるお尻になるんですよ」と美尻トレーナーのYOKOさん。お尻の筋肉を意識しながら、ラバーを使った準備運動、そして専用マシンでのトレーニングで「柔らかいお餅のよう」から「ハリと丸みのあるお尻」に変わっていく。
 年齢とともに筋力が落ちるのは事実だし、実感もする。特にお尻は「重力にはかなわない」とまっさきにギブアップして、ついヒップが隠れる洋服を選びがちだ。けれど、トレーニングを続けるごとに、気持ちも前向きになっていく女性たちを、YOKOさんは目にしてきた。
 「まず、選ぶ洋服が変わってきますね。タイトスカートを履きたくなったり、スキニーをかっこよく着こなして外出したくなったり。目に見えて変化が分かるから、自信につながり、表情も明るくなる。それに、ヒップラインは大きくて脂肪が付いている方がキレイにアップして、女性らしい丸みになるんです。お尻って、コンプレックスが強みになるパーツなんですよ」

自分の体を知って、触れて鏡に映して。Tシャツをかっこよく着こなす後ろ姿のためにまずは背筋を伸ばしてさっそうと歩くところから。

取材・撮影協力 / グランツフィットネス 静岡医療学園専門学校 NON FITNESS

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