特集 | 2018.10月号

アステン特集

ほんとうにきれいな髪の人

きれいな顔よりもきれいな髪の方が誇れるんじゃないかと思う。きれいな髪は、誰から見てもきれい。きれいにするのは、毎日の小さな向上心。

何事も、信じて続けること

 気持ちを上げたい時には長いストレートヘアをきりりとポニーテールにまとめ上げるという、森理世さん。2007年ミス・ユニバース世界大会で優勝した時には、ファン投票によるベストヘア賞も受賞したという。「アジア人の髪の美しさは世界からよく注目されますね。髪の美しさって、きっとその国の持っている水資源によって違うのではと思います。日本は適度な湿度と軟らかい水に恵まれているせいか髪と肌はとてもきれい。特に静岡は富士山などからの水が豊富ですよね」
 欧米の女性に「毎日髪を洗う」と話すと驚かれるそう。「ヨーロッパや北米は空気が本当に乾燥しているし、水は硬水。私も現地に行ったらドライシャンプーを使って、なるべく水やお湯に触れさせないようにしています。その代わり、空気が乾いているおかげで髪を巻くとふわっと決まるので、いろいろなアレンジが楽しめますね」。憧れの外国人のゴージャスな巻き髪は気候風土の賜物なのだ。
 世界レベルの美意識を体得してきた森さんだが、普段のヘアケアは「たぶん皆さんが想像するよりかなりシンプル」と話す。「外から与えるものよりも、毎日の食事に気を配っていますね。ずっと長い髪をキープしているので、特にわかめやひじきなどの黒いものは意識して取っています」。理想は潤ってツヤのある健康な髪。「美しさのために何かするというよりまず健康です。健康でなければきれいになろうという気も起こりませんから。きれいでいたいと思えるのは、健康のおかげ」
 30代に入り、自分らしい美しさに磨きをかけている森さん。最近になって髪のエイジングケアを始めた。「ダンサーは髪を強く結わえるので生え際が気になって。でも、洗髪後に頭皮ケア美容液を付けてマッサージしてから乾かすというお手入れを半年続けたら、本当に赤ちゃんの産毛のような毛が増え始めたんです。ダンス仲間からも『すごい』と感心されたほど。何事も信じて毎日続けることが大事ですね。あともうちょっとで効果が出るのに途中で飽きたり諦めたりしたら、求める結果は得られないから」

美髪は中からが8割

 「外からのケアでは、人が本来持っている髪や肌の美しさを引き出す効果はせいぜい2割ほど。8割はインナー・ビューティー、つまり体の中からの美容が重要だと思います」。そう話すのは、数々のヘアサロンに美容情報を提供しているプロ中のプロ、ミツイコーポレーションの四方田秀明さん。同じ頑張るなら、外からケアするより中から変える方がずっと効率良く効果が得られるということだ。
 最近は美容師たちの間でも、外から髪を整えるばかりでなく、インナー・ビューティーに着目する動きが芽生えてきているという。中でも、静岡の百貨店や藤枝市内で五つのヘアサロンを経営するアンドエーの山内淳社長はその第一人者。ヘアケアにとどまらず食生活や睡眠にまで視野を広げた「ビューティフルライフサポート」に取り組んでいる。「大人女性の髪の悩みはどんどん多様化してきています。それを自分で解決できるように、あふれる美容情報に振り回されず必要なケアを選ぶ知恵をサロンで提供していきたい」
 マニアックなほどヘアケアを探究し、実践もしている二人が、ツヤのある美しい髪を作る基本と口をそろえるのは血の巡り。そのために大切なのは、適切な生活リズム、質の高い睡眠、そして腸内環境の改善だ。
 「人間は夜8時から朝4時までの時間帯に、昼間取った栄養を利用して血を作りコラーゲンを作り、体をメンテナンスします。夜は食べ物を取り込む時間ではないんです」と四方田さん。「朝4時から昼12時までは老廃物を排出する時間。だから午前中はお腹が空いているくらいでちょうど良いと個人的には思っています」
 山内さんはサロンに来るお客さまによくファスティング(断食)を勧める。「現代人はみんな食べ過ぎなんですよ。夕食を数日抜くだけで体がリセットされ、不要なものを出そうとします。腸内環境も眠りの質も良くなって、肌質や髪のツヤが変わったという人も何人もいます」。腸を整えることで、考え方まで豊かになっていくという。「仲間を作って一緒にやるといいですよ」

見直したいのは毎日のシャンプー

 山内さんによれば、髪の「曲がり角」は33歳頃。10代20代ならブリーチでも何でも好きなヘアスタイルを楽しめるけれど、年を重ねるにつれて髪が受けたダメージの補修に時間がかかるようになる。髪に負担をかけないよう守りに徹するのが賢明だ。
 乾燥によるフケやかゆみ、白髪も薄毛も、対策の鍵は地肌の血流にある。ヘッドスパなどの特別なケアで血流を促す手もあるけれど、その前に毎日のシャンプーを見直す必要があるかもしれない。「シャンプーは地肌のためのもの、トリートメントは髪そのものの補修のためにするものです」と山内さん。「健康な地肌づくりのために、シャンプー前に軟らかいブラシでブラッシングをして頭皮の古い角質を取り除き、血行を良くしておくといいですよ」
 シャンプーの選び方も問題。「合わないシャンプーを使っているせいでギトギト油っぽくなっている方、結構多いんです。肌に吸収されるものと考えるといいかげんなシャンプー選びはできないですよね。地肌を適度に保湿してくれるシャンプーで洗ったら、しっかりと洗い流して地肌に残さないよう。ドライヤーも、まず地肌を乾かしてから毛先を乾かすのがコツです」。湿ったまま寝るのはダメージのもとだ。寝る時に枕に擦れるのでさえも髪にとっては負担。ロングヘアは軽く結んで寝るといいそうだ。
 そしてもう一つ大切なのは、信頼できる美容師と付き合うこと。「毛髪科学に詳しい美容師は少なくないですが、中でもお客さまの髪を絶対に傷ませないという強いこだわりを持って技術を吟味している人は頼れるはずです」

取材・撮影協力 / アステンサポーター 中村千紗さん I.R.Mダンスアカデミー アンドエー(B-WORLD・ビストロカフェLufus) ミツイコーポレーション