特集 | 2020.6月号

アステン特集

空と緑と、#私の時間

朝起きて窓を開けると、鼻先をくすぐる草の香り。遠くへ出掛けることは、大事なリフレッシュだけれど、手の届く#おそと にも、豊かな時間を見つけた。

風を感じる#読み聞かせ

 おうち時間を改めて見直してみると、豊かな時間の過ごし方があった。特に身近な"おそと"である庭やベランダ。はやりの庭キャンプやベランピングには手が届かなくたって、リビングの椅子を引っ張り出して、コーヒーを飲む。ただそれだけで気分がいい。
 藤枝市に住む冨田ルリ子さんのとっておきのおうち時間は、庭で本を読むこと。イタリアなどに滞在することが多かった20~30代、ベランダや庭で日記を書いたり本を読んだりして過ごすことが多かった。
 「一歩庭へ出れば別の空間。開放感があって、家の中より時間がゆっくり流れている気がするんです」
 "おそと"が暮らしの延長にあるので、小学生の子ども2人が夏休みや冬休みに入るたび、家の前の森で絵本の読み聞かせをしてきた。森の奥、つるを伝って崖をよじ登り、その先で見付けた切り株を椅子にして読み聞かせることも。物語に登場する探検や秘密基地作りも、森の中で読むと臨場感は格別だ。
 小学校が休校となり、子どもたちのおうち時間が増えてからは、庭や森で分厚い児童書を読み聞かせるように。「そもそも私がじっくり読みたかった」というスウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーンの名作「長くつ下のピッピ」や「やかまし村の子どもたち」などを選んだ。主人公のピッピと同じようにレモネードやジンジャークッキーも作って外へ持ち出し、たっぷりと物語の世界に浸る。「昔の児童書は難しい文語的表現も出て来るんですが、読み聞かせることで子どもたちの頭の中に情景が広がるようです。ピッピの仕草や表情まで覚えていて。きっと強く心に残ってるんだろうなって思います」
 仲良しのがまくんとかえるくんの友情物語を描いたアーノルド・ローベルの名作シリーズも子どもたちのお気に入り。まずは英語で読み聞かせ、子どもたちと一緒に原書のリズムを味わう。かえるくんがクッキーを食べれば、2人も青空の下でクッキーを頬張る。物語の挿絵と重なることで、子どもたちの想像力はさらに膨らみ、物語の世界へ引き込まれていく。
 冨田さんが大事にしているのは、自分自身も一緒になって楽しむということ。森から小鳥のさえずりが聞こえだしたら小休止。親子でしばし耳を澄ませる。読んでいる途中、色が変わり始めた空を親子で眺めることも。緩やかな時の流れをかみしめている。「外で本を読むと心が解放されて、いろいろなことへの感受性が豊かになる気がします。忘れかけていた子ども目線のワクワク感も思い出しますね。子どもとこうして過ごせる今を大切にしたいです」

朝の幸せ、#ベランダ菜園

 #stayhomeが合言葉になってから、家庭菜園が県内でもブームになっている。関連本がベストセラーになり、園芸店では野菜の苗を買い求める客が増加。一時的なブームではなく、サステナブル(持続可能)なライフスタイルとして注目を集めている。
 1年前からベランダ菜園を始めた焼津市の浩子さん。家族に有機野菜を食べさせたくて、あちこち店を探し回ったがなかなか見付からず、自分で育てることにした。畑となると準備も管理も大掛かり。庭は趣味のガーデニングの花で埋め尽くされていることもあり、2階のベランダでプランター栽培を始めた。ブロッコリーにレタスにキュウリ、スナップエンドウ、ルッコラ、水菜、パプリカなど、この1年でたくさんの野菜を少しずつ育てた。スーパーで売られている野菜ほど立派に実らなくても、これまでにない豊かさを感じている。「新鮮で安心感があります。自分たちで食べる分だけ少しずつっていうのが、またいいんですよ。農家さんの苦労も分かりました」
 家庭菜園を始めてから、朝一番にベランダへ出ることが日課となった。息子の弁当を彩るサニーレタスをちぎるため。そのひと時に、ささやかな幸せを感じている。「雨上がりの晴れた朝は、葉や実が少し大きくなっているんです。それがうれしくて。朝から緑に触れることは、小さな幸せですね」
 野菜の一生を見届けることも醍醐味(だいごみ)の一つ。あえて最後まで成長させて種を収穫する。例えばブロッコリー。普段食べているつぼみが膨らんで花が咲き、枯れて種を付けるまで育てる。季節がめぐればその種を再びまいて、命をつなげる。
 「野菜の花って色も形もかわいいんです。オクラの大きな花やルッコラの白い花も好き。ブロッコリーのレモン色の花があまりにもきれいだから、娘のお弁当に散りばめたこともあるんですよ」

#朝ヨガでポジティブな1日を

 たとえ予定がない休日でも、朝の時間は大切に過ごしたい。朝日を浴びると乱れがちな体内時計も整う。「1日の始まりをポジティブに過ごせると、1日元気でいられます。朝ヨガは最適です」と勧めるのは県中部でヨガ教室「bisukha」を主宰するRYOさん。RYOさんは早朝、ヨガマットを持って庭や歩いてすぐの芝生広場へ出る。朝日を浴びながら静かに目を閉じ、深呼吸をして大地のエネルギーを感じ取る。肌をかすめる風の感触、揺れる木の音、鳥の鳴き声、土の匂い。五感を研ぎ澄まし、さまざまな朝を感じる。朝ヨガは基本ポーズの連動「太陽礼拝」がおすすめだという。許される状況であれば、静かな海辺で波音を聴きながら行うのもいい。「自然の音は聴くだけで副交感神経を刺激するのでリラックス効果が高くなります。現代は不安な情報があふれていて、頭の中のおしゃべりが止まらないんです。せめて朝くらいは思考を切り離して、心を鎮めて今この瞬間に集中する時間が必要です」
 この春からビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を利用したオンラインレッスンを始めた。ヨガ初心者には、こうしたツールを利用する方法もある。Zoomレッスンには、関東から九州まで、さらには海外からも申し込みがあったという。「この状況だからこそつながったご縁もありました。おうちの中に一人でいたとしても、世界は広がっていく時代。ヨガで体と心をスッキリさせる習慣を身に付けると、新しい自分に出会えますよ」

取材・撮影協力 / ヨガ教室bisukha(ビスカ) tel.090-2925-9465

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