特集 | 2019.12月号

アステン特集

クリスマスを待つ香り

シナモンの湯気が香る温かいぶどう酒
焼きたてのジンジャークッキー
もみの木のリースから漂うのは、冬の森の匂い
いつもの毎日にクリスマスの香りを招き入れたら
12月の日常が自分だけの「特別」になる

聖なる香り、「フランキンセンス」はキリストへの誕生日の贈りもの

 クリスマスはキリスト教の降誕祭。イエスキリストの誕生を祝う日だ。実はこの日に縁の深い香りがある。「フランキンセンス」と呼ばれる、東アフリカやアラビア半島に自生する灌木(かんぼく)の樹脂から作られるエッセンシャルオイルだ。聖書では、3人の賢者がキリストの誕生を祝して選んだ贈り物の一つとされ、神聖な精油として今も祈りや儀式などで使われている。キリスト教だけでなく日本でも、「乳香」の名で匂い袋やお香として古くから愛用されている香料だ。
 「アロマテラピーでは、フランキンセンスはゆっくりとした呼吸で気持ちを穏やかにするのを助けると言われています。ヨガスタジオで使用されることも多いんですよ」と、生活の木静岡松坂屋店・店長でアロマテラピーインストラクターの宮﨑仁美さん。
 聖堂や洞窟、深い森をイメージさせる凛とした香りは、クリスマスだからというだけでなく、寒さと乾燥でこわばった心と体を和らげるための場にぴったりのアロマだという。
 「ディフューザーやアロマポットをお持ちでなくても、エッセンシャルオイルがあれば生活のさまざまなシーンで手軽に香りを楽しめます。たとえばティッシュなどに染み込ませて枕元に置いたり、バッグやポーチに入れておいたり。素焼きや石こうでできたアロマストーンにエッセンシャルオイルを数滴たらし、部屋に置いておくだけでも、火や電気を使わず安全にアロマの効果を楽しめますよ」
 宮﨑さん自身も、仕事等で緊張を和らげたい時に、フランキンセンスの香りを用いているそう。
 香りは目に見えないけれど、音楽と同様、私たちの心に直接、響くもの。新しい香りを生活の中に取り入れて、慌ただしい12月の日常を一新、ゆっくりと気持ちの模様替えをしてみたい。

冬の森を生きる樹木は、人に優しい安らぎの香り

 もみの木など針葉樹の清々しい香りから、クリスマスシーズンをイメージする人も少なくない。
 「寒い時期は、夏よりも日持ちがするので、グリーンやお花を飾るには良い季節なんですよ。コップに花一輪でも、身近に植物があると、不思議とほっとします。オレゴン産のもみの木やヒムロスギ、クジャクヒバ、ユーカリなど、香り豊かな枝ものも色々と市場に出回ってきますから、リース作りにもぴったりです。枝や木の実を材料にしたリースは、作りたてのみずみずしい時から、クリスマスが過ぎて徐々に香りが消えていく過程まで長い期間、楽しめますよ」と、良知園芸(吉田町)の良知知子さん。
 リースだけでなくブーケ状に束ねて吊るすスワッグや、包装資材店などで売っている円すい型の発泡スチロールに好みの針葉樹の枝を挿して作るクリスマスツリーのアレンジなど、緑の香りを暮らしに取り入れる方法はいろいろ。
 「工夫とアイデアで自由に楽しめます」と、フラワー装飾1級技能士などの資格を持つ良知さんだからこその頼もしい言葉。
 またイミテーションではなく、本物の「もみの木」でクリスマスツリーを飾りたいという人は、ホームセンターなどで毎年、ツリー用にゴールドクレスト等の針葉樹が入荷されるので問い合わせてみては。ただしクリスマスツリーとして鉢植えの針葉樹を使う場合は、水やりなどの管理が必要。その注意点を鎌足造園(静岡市)の鎌足純也さんに聞いてみた。
 「針葉樹は暑さに弱い植物なので、高温や直射日光、乾燥が苦手です。水やりは3日に一度くらい。葉は触ってみて乾いてきたなと感じたら、霧吹きなどで水をかけてください。暖房のきいた室内に置く時間は、なるべく少ない方がいいので、玄関先や室外に置くのもいいですね。世話をする手間はありますが、それも植物と一緒に暮らす楽しみです」
 ツリーでもリースでも、厳しい冬の山で育つ木々の美しさと香りは、独特の存在感でクリスマスシーズンをナチュラルに彩ってくれるはずだ。

赤ワインとスパイスを鍋でコトコト温めて、クリスマスの足音を待つ

 「街でも、家の中でも、アメリカには"クリスマスの匂い"ともいえる、この季節特有の香りが幾つかあります」と教えてくれるのは、静岡市にあるプリスクール「NBインターナショナルキンダーガーテン」の田形和仁さん。田形さんは、南カリフォリニア大学での留学時代も含め6年間、ロサンゼルス郊外のグレンドラで生活。アメリカ西海岸のクリスマス文化を体験してきた。
 「たとえば12月にショッピングモールに行けば、あふれ返るようなクリスマスギフトの香水とチョコレートの匂い。住宅街ではヤードと呼ばれるちょっとした空き地にクリスマスツリーに使われるパインツリーの期間限定の売り場ができて、車で走っていても漂う木の香りで"あ、もうツリーを売る季節なんだな"というのがわかります」
 キッチンでは大きなオーブンで1日がかりで丸ごとローストするターキーとクランベリーソースの匂い。家庭の味のアップルパイやミートパイ。スパイシーなモールドワイン(Mulled Wine)は、田形さんが帰国した今も、クリスマスの香りを感じるために自宅で作るという、ヨーロッパ系の人々が伝えたホットワインだ。作り方は簡単。赤ワイン1本と、シナモンスティック、クローブ、ローリエなどのスパイスを鍋に入れ、弱火でコトコトと温めるだけ。好みで砂糖やフルーツを入れる場合も。
 「火にかけている間に、家中にスパイスとワインの香りが広がって、クリスマスの季節を実感します。ワインは安いもので十分。マグカップにたっぷり注いでいただきます」
 この他アメリカの日常には、ペパーミント味の杖型のキャンディーケインやジンジャーブレッド、子どもたちがサンタさんのために寝る前に用意するクッキー&ミルクや、暖炉がない家に入るための魔法の鍵(Santa's Magic Key)など、クリスマスならではの食べものや習慣が盛りだくさんだとか。大人はホットワイン、子どもはホットチョコレート。いい匂いのするドリンクで心と体を温めて、のんびりとクリスマスの足音を待つ。そんな普段着の12月の日々も、いつかきっと、かけがえのないクリスマスの思い出になるに違いない。

取材・撮影協力 / 生活の木静岡松坂屋店 tel.054-205-2607 良知園芸店 tel.0548-32-1878 鎌足造園 tel.080-6983-5556 NBインターナショナルキンダーガーテン tel.054-202-9555

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