特集 | 2020.1月号

アステン特集

お金を味方にする方法。

どこで、誰と、どんな形で生きていくにしても、やはりお金は不可欠。できれば振り回されるのではなく、自分のペースに合わせて伴走してくれる「相棒」であってほしい。手帳を新調して1ページ目をめくるタイミングで考えてみる、お金との付き合い方。

将来どうなりたい?から見えてくるもの

 人生100年と言われる時代、40代でもその道のりは半分以上残っている。これからいくらお金が必要か、そのためにどんな準備をすればいいかは、自分がどんな人生を歩みたいかと直結する。
 「まずは、自分が将来どんなふうに生きていたいか。それによって、今お金とどうやって付き合うかが浮かび上がってきます」
 そう説明してくれたのは、RKコンサルティングの竹内彩香さん。ファイナンシャルプランナーとして、家計の相談を受ける時、一番最初にするのが、現状をつまびらかにし「ライフプラン」を立てることだという。
 「収入がいくらで、何にいくら使っているかを全て書き出します。その上で、今後予想されるライフイベントにいくらお金がかかるかを予想し、今何ができるのかを考えていきます」
 何歳でマイホームを購入するのか、子どもは大学に行くのか。そういった具体的なイベントを想定して、今使う「動かすお金」と、将来のために「寝かせるお金」とに分けていく。ただ、すぐに使わない分はプールしておく...と、理屈では分かっていても、ではどの程度の割合を?となると、そのバランスには頭を悩ませるところ。分け方の基準としては、使うタイミングが重要と竹内さんは話す。
 「短期のもの、中・長期のもの、という具合に、時期で分けてみては。短期とは、だいたい10年以内。中・長期は20、30年後以降に使う予定のもの、という感じです」
 例えば、短期の「動かすお金」は、今を暮らすための生活費や近々必要になる教育費など。一方、中・長期で考えられるのは、住宅のリフォーム代や老後の資金。お金を貯めることに終始して不安が先に立ったり、無理な節約に陥りがちなら「時々、今年は旅行に行こう、というような楽しみも挟みつつ、小さなことでいいので、夢や目標を作ってみてください」と竹内さん。
 「30年後もキレイでいたいという人は、今できる範囲で美容にお金を使おう、ということになるかもしれません。やみくもに貯めようと我慢すると気持ちがすり減ってしまうので、夢を思い描いて今からコツコツ頑張る、ぐらいがいいですね」

「ニーズ」か「ウォンツ」か

 みつめFP事務所のファイナンシャルプランナー、前田菜穂子さんが提案するのは、使うお金を「ニーズかウォンツ」に分けて考える方法だ。「ニーズは自分が生きるために必要不可欠な物。ウォンツは欲しい物、あったら楽しくなる物。迷った時にはどちらに当てはまるか考えてみては」
 ライフプランを立てたら、それにいくらかかるかのキャッシュフローを作ってみる。前田さんいわく、それは自分の人生にお金の物差しを当ててみること。
 当然、入ってくるお金が有限である限り、無限に使うわけにはいかないし、将来のことも考えたい。でも今の生活をギリギリに切り詰めるのも辛い。どの部分なら妥協できるかを考える物差しを「必要か、欲しいか」で選別することで、自分自身を見つめるきっかけにもなる、と前田さんは話す。
 水一つとっても、ある人は水道水で十分と思うかもしれないし、別の人はウオーターサーバーが欠かせないと考えるかもしれない。あるいは、両親が元気なうちに家族で旅行をしたい人もいるかもしれないし、子どもには特色ある教育をと考えて、小学校から私立の学校を選ぶかもしれない。何がニーズで何がウォンツか、その物差しは人それぞれ。夫婦、家族間でも、親子でも異なることもある。
 「自分や家族が何を大事にしたいか、価値観をすり合わせてみてください。そうすることで、お金が目的にならず、使う自分が主役になることができます。それが、人生を生きる上でお金を味方に付ける、ということだと思うんです」

増やす、という選択肢

 ところで、お金を寝かせておくなら、株や投信など、いくらかでもプラスになる手段に興味を持つ人も増加中。竹内さんは「銀行や証券会社などがさまざまなタイプの金融商品を出しているので、自分の目的に合うものを選んでみては」とした上で「本当に動かさないお金にしてしまっていいか、必ず吟味を」と話す。
 「多くの商品は10年、20年などの期限が付いていて、期限内に手を付けると元本割れしてしまいます。動かせないのに教育費が足りない、生活費の足しにしたい、といったことになれば、増えるはずのものがかえってマイナスになりかねません」
 前田さんは「まずは目標リターンとリスク許容度を設定してから商品選びに入ってください」とアドバイスしてくれた。
 預貯金よりもリターンが見込める金融商品は、株式・債券・投資信託などに細分化される。それら投資対象ごと、あるいは国や地域によってもリターンとリスクの傾向が異なる。
 リスクとはリターンを中心とした増減の振れ幅のことで、必ずしも元本割れのみを意味するものではない。「高額の資金が必要な物ばかりではなく、毎月千円からといった、少額で積み立てられる物もあるのでリスク許容度に応じてまずはトライしてみてください」
 初めて投資に向けるべき金額は 「自分なら」 失っても痛みを感じないレベルを想像してみたい。「1万円ならなくなってもいいと思えるならまず1万円。 値動きにドキドキしたくないなら1万円をさらに千円ずつ毎月小分けで、という感じです」
 何を選ぶにしても、投資開始当初5年は元本割れもあるかもしれないと心得て10年、20年という視点で資産形成を考えて、入念な情報収集から始めてみてはどうだろう。

 お金を考えることは、私が何を大切に生きているか、この先、どうやって生きていきたいかを見つめること。新年の一歩が明るい未来に向かうよう、まずは心が晴れやかになるゴールを思い描いてみたい。

取材協力 / RKコンサルティング tel.054-251-2700 みつめFP事務所 tel.070-6580-6399

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