asten PEOPLE | 2016.6月号

asten PEOPLE

田中雅子

雑穀クリエイター、料理研究家

食に関する幅広い活動を展開する料理研究家、田中雅子さんは、雑穀クリエイター国内第1号。SBS学苑1日講座で、日本古来の穀物である雑穀を毎日の食卓に気軽にオシャレに取り入れるコツを伝授した。小さな粒たちへの熱い思いをどうぞ!

"小さな粒たちは優秀な食材。作り手も楽しめる料理を提案したい。"

Q.食育を学ぶきっかけをお聞かせください。

中学・高校の教師をしていた時期があって、その頃、生徒たちのお弁当を見て「自分が育てられてきたころと食文化がだいぶ変わってきたな」と感じていました。さらに子どもが授かり自分も幼稚園のお弁当を作るようになって「食事っておなかがいっぱいになればいいというものではないな」という思いが強くなりました。そこで勉強を始め、食育アドバイザーの資格を取りました。

Q.雑穀に着目したのはなぜでしょう。

縄文・弥生時代からお米にとって代わるまでずっと、日本の食生活を支えてきたのは雑穀だと食育の講習で学びました。でもそのころの私にとってはヒエやアワは飼っていた小鳥のピーちゃんのごはん(笑)。そんな認識でしたが、実際にキビを使ったサラダや黒米を蒸したものを食べてみたら本当においしくて。穀物というより"優秀な食材"だと気付かされたんです。

Q.食材としての面白さはどんなところですか?

食べることってすごく楽しいけど、作ることにも楽しさって大切だと思うんです。雑穀はそれにすごくマッチしていて、色があるのが特徴的。赤や黒、黄色、緑、褐色...お料理がカラフルになり、食卓を華やかに飾ってくれます。例えば、春だったら菜の花のおひたしにキビを混ぜると花が咲いたような演出ができるし、黒米を炊いた上に白子と明太子を乗せ、金箔なんてあしらったらお正月やクリマスにぴったりですよ。

Q.優れている点は?

まず、食感に変化が生まれるという点です。私はよくハンバーグにタカキビを入れますが、歯ごたえが生まれます。するとよくかむようになりますよね。唾液の分泌が盛んになるし、脳が活性化される。満腹感も得られて食べ過ぎも抑えてくれます。プラス栄養価ですよね。ちっちゃな粒ですが、食物繊維が取れ、栄養が少しずつ多種詰まっているのが強みです。

Q.女性にうれしいことばかりですね。

そうなんです。雑穀は、亜鉛や銅、マグネシウムといった現代人に不足しがちなミネラルを持っています。色はポリフェノールですし。働く女性にこそ食べてほしいので、2、3工程でできるレシピや作り置きできるものも提案していきたいなと思っています。

Q.以前、ご飯に混ぜて炊いていたのですが続きませんでした...。

健康のため、栄養のため...と思うとやはり楽しくはないので、「おいしいから」食べるということが大事なんですね。生産者さんを訪ねて、雑穀を育てる大変さを実感しました。苦労の末にできた物を私たちがおいしく食べなかったら作りがいがないので、どうしたらおいしくいただけるか、どうしたらみなさんの毎日の食卓に取り入れてもらえるかを考えるのが私の仕事だと思っています。それぞれ下準備の仕方が分かれば気軽に使えるものなので、特にそこを伝えていきたいなと思っています。熱を加えた時の食感や味の特性を知ると、自然と活用のアイデアは広がっていくんじゃないかな。

Q.気軽に取り入れるためのポイントは?

市販のスープにゆでたものを入れるだけでも栄養価が増しますし、お料理した感が得られますよね。ゆでて1回分ずつラップして冷凍をしておくのもいいですよ。ぜひそんな感じで雑穀と友達になってほしいですね。続けているうちに「あれ、私の体ちょっと変わったかな」と思える日が来るんじゃないかと思いますよ!

PROFILE

1961年、東京都生まれ。都内自宅で20年間にわたり料理教室「m-kitchen」を主宰。「ベターホーム協会 渋谷教室」食文化セミナーでは季節ごとに雑穀講座を担当している。日本雑穀協会主催「雑穀料理コンテスト2009」「雑穀レシピコンテスト2011・2014」最優秀賞受賞。デリ・レストランのメニュー開発などにも携わり、多彩に活動中。