asten PEOPLE | 2020.2月号

asten PEOPLE

伊沢拓司

QuizKnock編集長

東京大学出身のクイズ王、伊沢拓司さん。静岡市美術館で2/1(土)~3/29(日)開催の「不思議の国のアリス展」(静岡新聞社・静岡放送など主催)では伊沢さん率いる東大発の知識集団QuizKnockとのスペシャルコラボが実現。アリス展の楽しみ方やオフィシャルブックの制作秘話をインタビュー。少年時代や受験のコツについても聞いた。

"アリス的世界観のやんちゃな少年時代。学びの種もたくさん投げられていました。"

Q.不思議の国のアリス展の見どころを教えてください。

一番は重厚な展示ということですね。ストーリーを展示の中で追うこともできるし、ストーリーができたきっかけを追うこともできるし、ストーリーに影響を受けた作品を見ることもできる。アリスという壮大な規模を持った作品がどのように考えられ、展開され、影響を与えたのか、アリスの前と後ろを見ることができるのが、今回の展示の最大の魅力ですね。ファンはもちろん、アリスをまだ知らない人も楽しめます。

Q.QuizKnockがクイズやオフィシャルブックを作る際に心掛けたことは?

みなさんが見落としがちなポイントを再発見できるよう工夫しました。執筆するにあたって、QuizKnockのメンバーで原典はもちろんのこと、さまざまな英語の文献を読みました。派生作品とその背景も調べて、学術的な正確性を損なわないよう心掛けました。4?5カ月かけて、構成から丸ごと全部自分たちで作り上げました。

Q.伊沢さん自身が感じるアリスの面白さとは?

アリスは筋がバーンとあるわけではないんです。行ったり来たりするわけです。さまざまな引用がなされていたり、奇抜なキャラクターが出てきたり、その場その場でストーリーが進んでいく。その脈絡のなさと登場人物の面白さこそが魅力ですね。子ども向けの作品というイメージはありますけど、大人になってからでも楽しめる作品です。当時の文化を知ることもできますし、作者ルイス・キャロルの人生も垣間見られて面白いです。

Q.伊沢さんはどんな子ども時代でしたか。

僕は勉強、勉強という少年ではなかったんですよ。低学年の頃は特に勉強ができるという感じではなかったです。近くに田んぼや川があって、ザリガニ釣ったりサッカーしたり。やんちゃで自由な少年時代でしたね。でも本を読むのは好きでした。自分にとって、最初の学びの体験が、家に置いてあった中古の学習まんがだったんです。織田信長の伝記だったんですけど、新鮮で面白いなって思って。それから歴史物が好きになって、学校の図書館にある伝記シリーズを読みあさりました。

Q.何がきっかけになるか分からないものですね。

今思えば、学びの種はめちゃくちゃ投げつけられていたと思います。両親は手を抜かないタイプで、子どもの僕にも容赦なく大人の言葉で話し掛けてくれていました。そのたびに意味を聞かなければならない。例えば寝る前、父親がいつも「訓示を垂れに来た」って僕のところへ来るんです。子どもにとっては訓示って何? 垂れるってどういうこと? ってなりますよね(笑)。教育系の子ども番組もたくさん見ました。その時得たクラシック音楽の知識は、今のクイズに役立っています。それなりに勉強しろとも言われていましたよ。言われなきゃやらないタイプだったんで。

Q.ちょうど今、受験シーズンです。受験生や保護者にアドバイスをお願いします。

受験生に意識してほしいのは、応援してくれる人の存在をプレッシャーに感じないことです。どうしても肩に乗っているような感覚になるけれど、あなたに乗っているのはあなたの体重一人分ですよ、と言いたいですね。保護者の方に言っておきたいのは、全受験生が焦っているので、「焦らないでね」という声掛けはしないようにしてほしいです。焦っている自分に焦るとパニックになる。一番不安なのは本人。保護者の不安を抑え込んで、受験生をねぎらってあげるのが一番良いのかなと思います。

PROFILE

1994年生まれ、埼玉県出身。東京大学経済学部卒業。中学時代から開成学園クイズ研究部に所属し、高校時代には全国高等学校クイズ選手権で史上初の2連覇を達成。昨年4月に株式会社QuizKnockを設立、代表に就任。ウェブメディアQuizKnock編集長。クイズ番組でも活躍する知識モンスター。