asten PEOPLE | 2018.8月号

asten PEOPLE

上白石萌歌

女優

現在公開中の細田守監督アニメーション映画「未来のミライ」は、甘えん坊の男の子“くんちゃん”と未来からやってきた妹“ミライちゃん”が織りなすちょっと変わった「きょうだい」の物語。主人公くんちゃんの声を演じた上白石萌歌さんに作品を通して感じたことをお聞きした。

"多くの人の出会いや偶然がつながって今の自分の存在がある不思議。"

Q.4歳の男の子を演じると決まった時はどう思われましたか?

まさか自分がもう一度4歳になれるとは思っていなかったですし、自分の俳優人生にそんなチャンスがあるなんて驚きでした。細田監督の作品が大好きで、新作が発表されるたびに劇場に足を運んで食い入るように観ていたので、その世界の一員になれることが幸せだと感じました。

Q.演じるにあたり何か工夫をされましたか?

自分の4歳の頃を思い出すのには限界があるので、実際に4歳の子に会いたいと思い、保育園に足を運んで一緒に遊んだりおしゃべりをしたりしました。思っていた以上にしっかり話すし、自分の意思も持っていることを知って「そこまで作らなくていいのかもしれない」と少し気が楽になりました。

Q.声だけで演じる面白さ、難しさはどのような所に感じましたか。

例えば今見たら小さな物でも4歳の視点では大きく見える、といったことを疑似体験できたことや、くんちゃんと一緒に泣いたり笑ったりすることで自分の感情を開放できたことが楽しかったです。とはいえ声優のお仕事は初めてだったので、声だけで伝える難しさには悩みました。最初は幼くつくりすぎてしまったりして。監督とお話する中で、本質が伝わればいいという意識ができましたし、(スタジオの)空間を大きく取ってくださったことでくんちゃんと同じ動きをして気持ちを同調させることができたので、次第に声だけで演じているという感覚がなくなっていきました。

Q.上白石さんは実生活では妹の立場。きょうだいの関係で共感するところはありましたか?

私自身は後から生まれた方なので、嫉妬をされる側だったかもしれませんが、きょうだい間の嫉妬は誰にもあるものだと思います。姉にあって自分にないものに劣等感を抱く、といったことは大人になってもあるだろうから、くんちゃんが「赤ちゃん返り」で代弁してくれているものを大事にお芝居をしました。

Q.家族について考えたことはありますか?

あらためて家族とのつながりを考え直すきっかけになりました。それは今存在している家族だけでなく、ご先祖さまや自分の未来...いろいろなベクトルに自分の思考が飛んでいく感じがしました。多くの人と人との出会いや偶然があって今の自分があるってすごいことですが、普段は気付かないもの。ちょうどお盆の時期ということもあり、皆さんにも味わっていただけたらうれしいです。

Q.カンヌ国際映画祭の監督週間にアニメーション作品として唯一選出されました。映画祭に参加されたご感想は?

カンヌという街が映画愛にあふれているのがすてきでしたし、寄せられるコメント一つ一つも興味深いものでした。生まれた場所も話す言葉も違う人たちが「自分の小さい頃のことを思い出しました」と言ってくださったこと、またそれが日本での公開前だということもとても不思議で、貴重な経験となりました。

PROFILE

かみしらいし・もか 2000年2月28日、鹿児島市生まれ。11年、小学5年生の時に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリに。審査員特別賞に選ばれた姉・萌音とともに芸能界入りした。東宝芸能所属。テレビ、映画のほか、歌唱力を生かし舞台やCMでも活躍中。「未来のミライ」は全国の東宝系映画館やシネマコンプレックスで公開中。