asten PEOPLE | 2018.2月号

asten PEOPLE

詩歩

絶景プロデューサー

「こんな場所があるなんて!」-自分が住む星なのに、初めて出合う風景ばかりで息をのむ。Facebookページに始まった「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」は、ワクワク感を提供し続け、同名の写真集も「新日本編」で第5弾を数えた。プロデューサー詩歩さんに撮影時のエピソードなどとっておきの話を聞いた。

"自然は生き物。絶景に出合うまでには過酷な条件や苦労もしばしば。"

Q.詩歩さんの「絶景のお仕事」とは?

見た目が美しいのはもちろんですが、私はストーリーが面白かったり、驚きがあったりという場所を「絶景」と定義していて、国内・海外問わずそうした場所を皆さんにご紹介する活動をしています。出版のほか、旅行会社とツアーを組み立てるなどさまざまな分野の企業ともお仕事をさせていただいています。Facebookページも更新を続けています。   

Q.どのようなペースで活動されていますか?

本は1年に1冊出しています。海外には毎月行っていて、これまでに50カ国ほど訪ねました。国内も昨年ようやく47都道府県を制覇しました。

Q.旅が仕事になるなんてすてきです。

よく言われるんですが、自然は生き物なので、絶景に出合うまでに過酷な条件や苦労が伴うこともしばしばです。昨年6月に行ったウクライナの「恋のトンネル」は貨物鉄道の線路と自然に生い茂った植物の緑のアーチが続く、ずっと訪ねてみたいと思っていた場所です。写真だけ見ると、幻想的で妖精が出そうですよね。でも実際は蚊がすごくて、常時5匹くらい体に止まっている感じ。事前にリサーチしていたので対策もして行ったんですが、日本の蚊よけはウクライナの蚊には効かないそうで...。カメラを操作する右手だけ狙われ20カ所も刺されてしまいました。ドクドク脈打つのが分かるくらい腫れて大変でした。

Q.写真集は表紙選びも重要ですね。

まず、30くらいの候補の中からどこにするのかを選びます。数を絞って写真を選び、スタッフで投票。最終的にはプリントしたものをこっそり書店に持って行って、売り場で並べ見て決めるんです(笑)。新日本編で採用したのは長野県の竜王スキーパークに春から秋限定でオープンするソラテラス。ここは雲海発生率が67%と高い。私がさらにおすすめしたいのは夕方で、青空と夕日の両方を楽しめます。雲海は出たり消えたりするので、数時間粘ってみてほしいです。表紙の写真、実はスマートフォンで撮ったものです。

Q.仕事をするうえで大切にされていることは?

私は特別な才能があったわけではありません。大切なのは続けることだな、と感じています。小さな一歩を踏み出してコツコツと続けていると、誰かが見ていてくれて違うステージに引き上げてくれる。やめずに続けたから次の仕事につながっていくのだと思います。

Q.絶景をめぐる変化のようなものは感じますか?

切り取り方、つまり写真の撮り方で絶景になる、というのがここ2、3年のブームだと思います。岐阜県関市の山あいにある根道神社の「モネの池」はその一つ。鳥居の脇にある小さな名もなき池だったんですが、切り取った画面がモネの絵画のようだとネットで話題になって多くの人が訪れています。地元の方の努力もあって、実際に見ても動く絵画のようです。一方、一気に人が集まりすぎて心無い行為が問題化するのは防がなければいけないことです。以前より気を使ってマナーを喚起する一文を掲載するようにしています。

Q.故郷・静岡の絶景と言えば?

大井川鉄道・奥大井湖上駅の、エメラルドグリーンの湖面と赤い鉄橋、無人駅がぽつんとある様子がいいですよね。昨年7月、ここに臨時郵便局を作るプロジェクトに参加しました。地元の浜松では浜名湖の弁天島。寒い季節、鳥居の真ん中に夕日が沈む期間があります。他にも中田島砂丘の砂紋、引佐町の久留女木の棚田など、浜松やらまいか大使になったので広く紹介していきたいと思っています。

PROFILE

1990年、清水区生まれ、浜松市育ち。2012年、大学を卒業しインターネット広告を扱う広告代理店に入社。新卒研修で制作したFacebookページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」が1年で45万を超える「いいね!」を獲得して話題になり、在職中に同名の著書を出版。14年3月に退職し、フリーランスに。書籍シリーズは累計60万部を超える。 Facebookページ www.facebook.com/sekainozekkei。Instagramは@shih0107で検索を。