asten PEOPLE | 2020.11月号

asten PEOPLE

新井順子

プロデューサー

「MIU404」や「アンナチュラル」「わたし、定時で帰ります。」など話題となった連続ドラマを手掛けたプロデューサー新井順子さん。12年前から構想を練っていたという「MIU404」は綾野剛さん、星野源さんらの軽妙な掛け合いや派手なアクションなどで人気に。ことし9月に放映が終わり、「やり切ったという思いです」と語りました。

"記憶に残るドラマ目指す"

Q.ずばりヒット作を生む秘けつは。

自分が面白いと思うことをやるしかないですね。豪華なキャストをそろえてもヒットするとは限らないし、何をすれば数字(視聴率)が取れるかは分かりません。ただ、「この俳優がこんなことしたら面白いな」とギャップをイメージしてキャスティングしています。ドラマや舞台を見て、興味のある芝居をする人を選ぶこともあります。感覚でしかないですね。視聴率は低かったとしても3年後に覚えていてもらえるか。記憶に残るドラマを目指しています。

Q.その感覚はどうやって磨いていますか。

新型コロナウイルスの影響で在宅時間が長かった時、アメリカ、韓国の作品など話題になったドラマを見ました。楽しみながら勉強している感じです。ドラマオタクなんです(笑)。このセリフ、あのドラマで言っていたな、ストーリー展開も見たことあるな、と感じたら、作っている台本を修正するようにしています。

Q.若年層にテレビを見ない人が増えています。テレビの魅力は何でしょうか。

日常性だと思います。ニュース番組はドラマネタの宝庫です。映画や配信作品は制作から公開まで時間がかかります。でも、テレビなら例えばドラマの1話が終われば、公式サイトや電話、手紙などですぐ反響があり、その後の展開を変えることもできる。自分たちの思いだけで突き進むのではなく、視聴者に寄り添うこともできます。外国人労働者など社会問題をどうエンタメ化して盛り込むかも考えました。重いテーマの時こそ見やすさを大切にしたり、キャラクターを強く出したりします。

Q.「わたし、定時で帰ります。」では残業をしないと決めて定時に退社する女性を描き、反響を呼びました。働き方についてどのような考えを持っていますか。

仕事することが楽しいなら残業するのもいい、と思っています。仕事が苦痛な人は早めに帰ればいい。働き方は十人十色。働く際は社長でも若手でも同じ対応をするよう心掛けています。

Q.静岡の印象は。

撮影で訪れた富士宮で食べた富士宮焼きそばの印象が強いですね。熱海など県東部は撮影でよく訪れます。大井川鉄道で行った奥大井湖上駅は素晴らしかったので、いつか撮りたいと思っています。いま興味があるのは熱海市の初島。「東京から一番近い南国」ですから。

Q.今後、手掛けたいドラマのジャンルはありますか。

実は警察ものやサスペンスが大好きなんですが、同じものばかりやっていては、とも考えます。この時代だからこそ、ホームドラマのようなものはどうかと思っています。あと、お芝居が面白い俳優さんたちに囲まれたい、コメディ作品に挑戦したいとも思います。

PROFILE

TBSスパークル社員。東大阪市出身。「夜行観覧車」「Nのために」「リバース」「中学聖日記」などを手掛けた。2018年、不自然な死の原因を追究する法医学ドラマ「アンナチュラル」で第55回ギャラクシー賞テレビ部門・優秀賞など多数受賞。

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