asten PEOPLE | 2021.2月号
石田泰尚
「石田組」組長
男性だけの弦楽アンサンブル「石田組」がことし5月、静岡市民文化会館で県内初のコンサートを行う。組長の石田泰尚さんは「できるだけ大勢の静岡の方に聞いてもらいたい」と語る。

"男性ユニットの演奏楽しんで"
Q.独特の編成理由は何でしょうか?
結成する前に、男性だけでのレコーディングの仕事がありました。その風景がめっちゃかっこいいなと思って、この形で何かできないかと思ったのがきっかけです。2014年に結成し、当初は知り合いに声をかけてメンバーを集め、最近では紹介してもらって招くこともあります。人数はその時その時で変動します。指揮者のいないユニットなので、一人一人とコンタクトをとれる最大の人数が13人かなというのが理由です。
Q.昨年、新型コロナウイルスの感染拡大により、どんな影響を受けましたか。
昨年3月から6月ごろまで全ての公演が中止になり、テンションは本当に低くなりました。ですが、練習しないと衰えてしまうと思い、家でダラダラとではありますが弾いていました。外出自粛期間でもあったので基本的には家で過ごし、テレビを見るなどゆっくりとしていました。
Q.不安はありませんでしたか。
公演中止は仕方のないこと、と受け止めていました。お客さまの前で演奏することが仕事ですので、いつ再開できるのか、仕事がなくなってしまうのではと思いました。お客さまが集中して真剣に聞いてくれている雰囲気は舞台の上でも分かります。それをまた味わいたくて、早くお客さまの前で弾きたいと、ずっと思っていました。
Q.再開した時はどんな気持ちでしたか。
人前で演奏ができたのが6月末でした。愛知県でのコンサートで、ホール収容人数の半分程度だったと思いますが、とてもうれしかったです。先の見えない時でしたから、この後どうなっていくんだろう、新型コロナウイルスが流行する前の状態に戻ってほしいという思いがありました。コンサートや演劇など文化系の事業は再開が難しく、自分の仕事は世の中にとって本当に必要なのかと思ったこともありました。ですが、久しぶりにお客さまの前で弾き、喜んでくれている姿を見て、音楽はやっぱり必要なんだと痛感しました。
Q.静岡の印象は。
月並みですが富士山とかミカンでしょうか。2年ほど前に森町でリサイタルを開いたくらいで、静岡での演奏機会はほとんどなかったので、5月の静岡公演ではぜひ多くのお客さまに聞いてもらいたいです。また聴きに行きたい、また静岡に来てほしいと思ってもらえるような公演にしたいですね。
Q.どんな曲目を想定していますか?
できるだけ幅広い年代、客層の方に楽しんでもらえるよう、クラシックだけでなく、ロックや映画音楽などさまざまなジャンルの曲を用意し、静岡のお客さまに楽しんでもらえる工夫もします。男性だけのユニットという特徴も他にはあまりないので、面白く見てもらえるのではないかと期待しています。
PROFILE
神奈川県出身。国立音楽大学を首席で卒業。新星日本交響楽団コンサートマスターを経て、2001年より神奈川フィルハーモニー管弦楽団ソロ・コンサートマスターに就任。現在は首席。ソロ・コンサートマスターの重責を担う。2020年4月より京都市交響楽団特別客演コンサートマスターを兼任。※静岡公演は5月25日、静岡市民文化会館で19時開演、チケット5000円。