スペシャル企画 | 2018.10月号

スペシャル企画

京都の美味を、京都より気軽に

~老舗料亭「京都つる家」の厨房から~

この秋ホテルアソシア静岡にお目見えした日本料理「京都つる家」。京都の老舗料亭ののれんを守り継ぐ齊藤祐輔料理長は静岡市出身だ。磨いてきた伝統の味で、故郷静岡に伝えたい思いを伺った。

「気軽に『はんなり』を感じていただけたら」

 和食のおだしというのは、余韻が特徴なんです。食べ終わって家に帰った後にも「おいしかったな」という余韻が長く残るのは、良いうま味成分がたっぷり入っているから。和のおだしにはそういう力があります。つる家伝統のおだしは、上品な香りや爽やかな酸味を持つカツオと、力強いうま味のあるマグロ、その二つと相性がいい真昆布をバランス良く組み合わせています。料理人が一から作り込んだ味で、和食の良さを再認識していただけたらと思います。
 京都の本店「岡崎つる家」は予約制のお店で、庭園や数寄屋建築といった店のしつらえと、料理とおもてなしの三位一体で数々のお客さまをお迎えしてきました。その伝統を、もっと気軽に楽しんでいただけるのが静岡のつる家です。例えば食後にお出しする宇治抹茶も、作法にとらわれずに召し上がってくだされば。味わってほっこりして「おいしかったね」と言っていただけたらうれしいです。
 静岡はおいしい食材が豊富にあるので、その良さを引き出しながら、京都らしさも感じられる料理をお作りしていきたいと思っています。「はんなり」という京言葉のように、華やかでおしとやかな味を自分なりに表現していきたいですね。

「静岡への恩返し」

 料理長という大役は初挑戦になりますが、京都の良さも静岡の良さも知っている料理人として、自分に白羽の矢が立ったのは何かの縁だと思います。とはいえ、店は自分一人では作れないもの。周りの人に助けられている感謝と、静岡への恩返しの気持ちも込めて、この新しい挑戦をお客さまに還元していくつもりです。
 今の日本には食の選択肢がたくさんありますが、和食という伝統を次世代へも大切に伝えていくことが、料理人としての使命だと思っています。

【京都つる家】

1908年創業。本店は京都で賓客を迎えてきた和の迎賓館「岡崎つる家」。昭和天皇の即位の礼に際し宿泊と食事のご奉仕をした歴史もある老舗。

取材・撮影協力/ホテルアソシア静岡

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