スペシャル企画 | 2020.12月号

スペシャル企画

意外と知らない「放射線」のこと

「放射線」と聞いて、どんな想像をするだろうか? 「怖い」「危険なもの」というイメージを持つ人もいるのでは? 実は、放射線は暮らしの中に使われている身近な存在。正しい知識を身に付けた上で、自分自身で判断できるようになってほしい。東京都市大学理工学部原子力研究所客員准教授の岡田往子さんとフリーアナウンサー長谷川玲子さんによる放射線について学ぶSBSラジオの番組「聞いてなっとく!放射線」が11月に放送された。収録に合わせて、アステンサポーターの森田ゆか里さんと杉山奈歩さんも参加して座談会が開かれた。

「放射線」は私たちの身の回りに存在する

長谷川 放射線とは、どういうものなのでしょうか?
岡田 地球上にはおよそ90の元素が存在していて、元素の中には不安定な状態の元素が10個以上あります。その不安定な元素が放射線を出し、安定しようとしてきました。こういった元素が集まって地球ができているので、地球にも放射線を出す元素があるんです。
放射線はさまざまな産業に応用されていて、医療現場で使われるほか、空港の手荷物検査などにも放射線の技術が使われています。防火カーテンや自動車などに使われる熱に強い素材、紙おむつで使われる水分を吸収する素材にも、放射線の技術が使われているんですよ。それらの製品から放射線が出るわけではないということは知っておいてほしいですね。

食べ物からも放射線を受けている

岡田 私たちは空気から、大地から、宇宙から、そして食べ物からと、暮らしの中で自然界のさまざまなところから放射線を受けています。実は、日本では食べ物から一番多く放射線を受けています。ただし、自然界から受ける放射線量は、健康への影響を心配する必要はないレベルです。
長谷川 食べ物からと聞くと不安になりますね...。2011年の原発事故を機に食品に関する放射性物質への関心が高まったと思うのですが、日本の基準はどうなのでしょうか?
岡田 放射性セシウムのことですね。事故後、日本はEUやアメリカに比べても厳しい基準値を設定し、農産物への検査体制を整えました。農家の努力により、基準値を超える農産物は日本では流通していません。
長谷川 「放射線を受けるとがんになる」と聞いたことがあるのですが...。
岡田 一度に100mSv(ミリシーベルト)以上の放射線を受けるとがんになる確率が高くなることがわかっています。自然界から受ける放射線量は日本平均で年間2.1mSv程度。100mSvというと50年分を一度に受けるということです。例えば胸部レントゲン写真を撮ると0.05mSvの放射線を受けますが、これをどう捉えるかですね。早い時期に病気を知ることが大事なのか、ごく少量の放射線を受けることを否とするのかですね。

正しい知識を得ることで見方が変わる

岡田 妊娠中のレントゲンはNGだと思われていますが、私の場合は42歳の時に妊娠し、高齢出産ということもあり出産予定日近くにレントゲンを撮りました。子どもの状態が分かり、安心できたんです。妊娠中でもレントゲンを撮れる時期があるんですよ。
森田 放射線は怖くて危険なものというイメージがありましたが、お話を聞いて、健康診断を受けようと思いました。
杉山 知らないということが不安の原因になっていたんだと思います。放射線が自然界にも存在するということ、共存できるということを子どもたちにも伝えていきたいですね。
長谷川 私たちの暮らしの中に存在する放射線。今ではなくてはならない技術になりました。正確な情報を知って、自分自身で判断することが大切なのですね。

放射線セミナー講師・プロフィール

岡田往子(ゆきこ)さん
東京都市大学理工学部原子力研究所客員准教授。日本大学農獣医学部水産学科卒業。千葉大学博士(理学)修得。高純度材料の微量元素の分析や福島支援(20km圏内の放射性物質測定、いわき地場産業復興、放射線教育など)、群馬県赤城大沼周辺の放射線測定にも力を注いでいる。

協賛・問い合わせ 静岡エネルギー・環境懇談会 https://www.enekan-shizuoka.org/

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