スペシャル企画 | 2021.12月号

スペシャル企画

暮らしの中の放射線について知ろう

10月下旬から11月上旬にかけてSBSラジオ「牧野克彦のIPPO」で、放射線について学ぶ3回シリーズの番組を放送。この番組を聴いて、東京都市大学理工学部原子力研究所 客員准教授 岡田往子さんと、コーディネーターの長谷川玲子さんのもと、アステンサポーターと、地元メディアwomoの読者モデルと合同座談会が開かれました。

身の回りにある放射線とは?

地球上には約90の元素があり、その中の10個以上が不安定な元素。この不安定な元素が安定な状態になろうとして出すものが放射線で、宇宙・大地・空気・食べ物といった私たちの身の回りのものから出ている。日本では年間平均2.1mSv(ミリシーベルト)※の放射線を私たちは自然界から受けていて、実は食べ物から一番放射線を受けているそう。


長谷川 食べ物から受ける放射線が多いと聞いてどう思いました?
平井 食べ物からも放射線を受けているんですね。注意は必要ですが、あまり敏感になりすぎなくてもいいのかなと思いました。
岡田 食品に含まれるカリウム40が放射性物質なんです。たとえば1kgあたり干し昆布2000Bq(ベクレル)※、お茶600Bq、お米30Bqが含まれていますが、カリウムは体にとって必要不可欠な栄養素。乾燥させたものはカリウムが多くなります。干し昆布にはたくさん含まれていますが、一度に1kgの干し昆布を食べないでしょう。バランスよく食べることが大切なんですよ。
海野文 干し昆布やお茶などの食べ物にも放射性物質が含まれていることに驚きました。先ほどの2000という数字は1kgあたりに含まれる量なんですね。食品はバランスよく食べることが大切ですね。

レントゲンの放射線量は?

放射線を受けるとがんになると聞くが、それは一度に100mSv以上の放射線を受けると、がんになるリスクが増えるということ。レントゲン写真の種類により放射線量は異なるが、胸部レントゲン写真の場合は1回0.05mSvの放射線を受ける。自然界から受ける日本の年間平均放射線量2.1mSvからすると約1/40。病気の早期発見を望むか、ごく少量の放射線でも受けたくないか、自分で考え、判断することが大切だ。


南條 レントゲンを撮るのは心配だったんですが、頻繁に撮るわけではないし、正しい情報を知った上で判断すればいいと分かり安心しました。
岡田 私自身も妊娠9カ月のときにレントゲンを撮ることになって心配していたのですが、お医者さんから必要最低限の量しか使用しないので大丈夫と聞いて安心したんです。がん治療では強い放射線が使われますが、今は医療もどんどん進化しているんですよ。

放射線の力を使ってつくる製品も

紙オムツ、防火カーテン、自動車のチューブなどは放射線の力を使って製品がつくられているが、これらの製品から放射線が出ているというわけではない。私たちの身の回りには、自然界から受ける放射線と、自然界以外で受ける放射線がある。どちらも放射線の量を大きく超えなければ、体への影響はないとたくさんの研究から判断している。


海野百 放射線は身近な製品にも使われているんですね。放射線というと怖いという印象しかなかったので、今回正しい情報を知ることができてよかったです。放射線について周囲の人と話してみたいですね。
長谷川 放射線は暮らしの中の身近な存在。家事や子育てをする方にはもっと知っておいてほしい情報ですね。
岡田 放射線の話をすると苦手意識を持つ方も多いのですが、実は身の回りにある身近な存在なんだということを知ってもらえればと思います。そして正しい情報を知って自分で判断することが大切なんですよ。

※Sv(シーベルト)は、人が放射線を受けた時、身体にどの位の影響が出るのかを表す単位1Sv=1,000mSv。Bq(ベクレル)は、放射性物質が放射線を出す能力を表す単位。

放射線セミナー講師・プロフィール

岡田往子(ゆきこ)さん
東京都市大学理工学部原子力研究所客員准教授。日本大学農獣医学部水産学科卒業。千葉大学博士(理学)修得。高純度材料の微量元素の分析や福島支援(20km圏内の放射性物質測定、いわき地場産業復興、放射線教育など)、群馬県赤城大沼周辺の放射線測定にも力を注いでいる。

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